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雄英美装のブログ
はじめに
「洗剤を使ってしっかり洗っているのに汚れが落ちない」 「洗剤を使ったら建材を傷つけてしまった」こんな経験をされたことはないでしょうか。
市販の洗剤は種類が豊富でとても便利ですが、汚れや素材に合わないものを選ぶと、効果がないばかりか、大切な住まいや物件を傷つけてしまうことも少なくありません。実は、洗剤選びで最も大切なのは、汚れの性質と素材の相性です。
本記事では、建築美装のプロの視点から、そんな洗剤選びの基本を分かりやすく解説します。
汚れの種類とそれに効く洗剤の組み合わせから、素材を傷めないための専門的な注意点まで、ご家庭ですぐに役立つ知識をまとめました。正しい洗剤の知識を身につけ、日々の清掃の質をぐっと高めていきましょう。
pHで理解する汚れと洗剤の相性
洗剤を効果的に使うためには、まず汚れの性質を知ることからが大切です。その基本となるのが「pH(ペーハー)」という指標です。ここでは、洗剤選びのポイントとなるpHについて解説し、身の回りにある汚れがどのような性質を持っているのかを具体的に見ていきます。
pH(ペーハー)とは?
「pH(ペーハー)」は、洗剤や汚れの性質を示す指標です。
pHは0から14までの数値で表され、中央の7が「中性」にあたります。数値が7より小さいと「酸性」、大きいと「アルカリ性」となり、数値が7から離れるほど、その性質は強くなります。
清掃の基本は、この性質を利用した「中和」にあります。酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤を、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を作用させることで、互いの性質を打ち消し、汚れを効率的に分解できるのです。
汚れの性質と有効な洗剤
私たちの身の回りにある主な汚れを、その性質と有効な洗剤の種類とあわせて、表にまとめました。
| 汚れの性質 | 代表的な汚れの例 | 有効な洗剤 | pH値の目安 | 注意点 |
| 酸性の汚れ | 油汚れ、皮脂、食べこぼし、タバコのヤニ | アルカリ性洗剤 | pH 7.0以上 | アルミ製品を変色させたり、ワックスや塗装を剥がしたりする可能性あり。肌への刺激が強い。 |
| アルカリ性の汚れ | 水垢、石鹸カス、尿石、電気ポットのカルキ | 酸性洗剤 | pH 7.0未満 | 金属(特に鉄)や天然石(大理石など)を腐食・変質させるリスクが高い。「混ぜるな危険」表示に注意。 |
| その他 | カビ、サビ、シール跡、油性マジックなど | 中性洗剤、塩素系漂白剤、溶剤など | 中性洗剤はpH 6.0~8.0程度(洗剤による) | 素材への影響が大きいため、目立たない場所でテストしてから使用する。換気必須。 |
pH値が中性(7)から離れるほど、酸性やアルカリ性が強くなり、洗浄力も高まります。ただし、洗浄力が強い分、素材への負担やダメージのリスクも大きくなります。
清掃の基本は、まず中性洗剤から始め、汚れが落ちにくい場合に少しずつpH値の高い洗剤へ切り替えていくのが良いでしょう。これにより、素材への影響を最小限に抑えつつ、確実な効果を引き出せます。
素材別の注意点とNG例
洗剤選びで汚れとの相性と同じくらい重要なのが、清掃の対象となる「素材」との相性です。どれだけ強力な洗剤でも、素材を傷つけてしまっては意味がありません。特にデリケートな加工が施された建材は、一度傷つけると修復が困難になることもあります。ここでは、清掃の際に注意を払うべき素材と洗剤の組み合わせを具体的に解説します。
この組み合わせはNG!素材を傷める洗剤
素材の性質に注意せず洗剤を使用すると、変色や変質といったトラブルが起こることも。以下は、代表的な素材と避けるべき洗剤の組み合わせをまとめました。
石材
天然石は酸性洗剤で艶落ちや変色の恐れがあります。特に大理石は酸性洗剤と塩素系漂白剤の使用は厳禁です。大理石の主成分は酸に非常に弱く、洗剤に触れると表面が溶けて光沢を失ってしまいます。
御影石(花崗岩)も成分により影響が出る場合があるため注意が必要です。基本は中性洗剤または石材専用の洗浄剤を使い、初めて使用する際は必ず目立たない場所でテストしてから使用しましょう。
木材
無垢材フローリング、白木などの木材はアルカリ性洗剤の使用は避けましょう。アルカリ性洗剤は木材の油分を奪い、変色や毛羽立ちを引き起こすことがあります。
また、無垢材は水分を吸収しやすく、シミや反りの原因にもなるため、水濡れにも注意が必要です。洗剤を使う際は固く絞った雑巾で拭き上げましょう。
金属
金属類も素材によって使用を控えた方が良い洗剤があります。アルミはアルカリ性に、銅や真鍮は酸性に弱く、変色や腐食の原因になります。
強力なアルカリ性洗剤や酸性洗剤は使用を控えましょう。ステンレスは比較的強い素材ですが、塩素系漂白剤を長時間接触させたり、高濃度で使用すると孔食や変色を起こす恐れがあります。安全性を考慮し、まずは中性洗剤で試すのが良いでしょう。
プラスチック素材
ユニットバス、家電製品などに使われているプラスチック素材は加工しやすいのがメリットですが、その分繊細で洗剤の影響を受けやすいため注意が必要です。強力な酸性・アルカリ性の洗剤や、シンナーやアセトンなどの溶剤は使用しないでください。まずは水洗いをして、汚れが落ちないようであれば中性洗剤を使用してください。
ガラス
ガラスは、フッ化物酸や強力なアルカリ性洗剤を使用すると、エッチング(表面溶解)により白く濁ってしまうことがあります。また、研磨剤入りのクレンザーでこすると無数の細かい傷がつき、かえって汚れが付きやすくなったり、透明感が損なわれることがあります。
ガラスには、基本的に市販の食器用洗剤などの中性洗剤を使用するようにしましょう。
コーティング・メッキ加工素材
くもり止め加工がされた鏡や、蛇口のクロムメッキ加工など、表面にコーティングやメッキ加工がされた素材は非常に繊細なため、強力な酸性・アルカリ性洗剤や、研磨剤入りの洗剤は基本的に使用は控えましょう。
見た目では加工の有無が判断できないことも多いため、基本は中性洗剤と柔らかい布で優しく清掃するのが良いでしょう。
素材の判断に迷った時は、たとえ目立つ汚れであっても無理に強い洗剤を使うのは禁物です。安全性を最優先し、中性洗剤で優しく掃除することを基本としましょう。
洗剤の効果を最大限に引き出す「使い方」の基本
適切な洗剤を選んでも、その「使い方」を誤れば効果は半減し、素材を傷めるリスクは増大します。洗剤の能力を最大限に引き出し、安全に作業を終えるためには、いくつかの基本的なルールがあります。この章では、プロが現場で徹底している「使い方」のポイントをご紹介します。
洗剤を正しく使う4つのポイント
洗剤の効果を引き出し、素材を傷つけず安全に清掃を行うためには、いくつかの基本的なルールがあります。洗剤を使用する際は以下のポイントに留意しましょう。
- 洗剤は規定通り希釈する
洗剤は、指定された倍率に水で薄めて使います。濃ければよく落ちるわけではなく、むしろ素材を傷めたり、洗剤成分が残って新たな汚れの原因になったりします。 - 汚れの種類に応じて水温を調整する
洗剤を使用するときの水の温度は、汚れの種類に応じて使い分けると効果的です。油脂汚れには冷水ではなく、30〜50℃が効果的です。一方、食べこぼしなどのタンパク汚れは高温で凝固し落ちにくくなるため冷水〜40℃ほどが適切です。 - 洗剤を浸透させる「放置時間」に注意
洗剤を塗布した後、すぐにこするのではなく、製品の指示に従って一定時間置くことで、成分が汚れの内部に浸透し分解しやすくなります。ただし、指定された時間以上に放置すると、素材を傷める原因になるため注意しましょう。 - すすぎ洗いで洗剤成分しっかり落とす
特に酸性・アルカリ性の洗剤を使った後は、その成分が残らないように処置することが重要です。十分な水で洗剤を残さずにすすぎ洗いをしましょう。最後に乾いた布で水分を拭き取りましょう。

失敗を防ぐための「準備」と「安全管理」
ハウスクリーニングのプロの現場と家庭の掃除で最も差が出るのが、この「準備」と「安全管理」かもしれません。これらを徹底することが、失敗を防ぎ、最終的な仕上がりの質を高めます。
- 清掃前のテスト
初めて使う洗剤や、デリケートな素材を洗浄する前には、必ず目立たない場所(家具の裏、部屋の隅など)で試しましょう。洗剤を少量塗布し、指定の時間放置した後に拭き取り、変色や変質がないかを確認します。 - 周囲の保護
洗剤が周囲に飛び散り、意図しない場所を傷つけるのを防ぐため、マスキングテープやビニールシートで保護します。例えば、木製の窓枠があるガラスを洗浄する際は、枠に洗剤がかからないように養生するようにしましょう。 - 手袋・マスクの着用と十分な換気
洗剤、特にアルカリ性や酸性のものは、皮膚や目にダメージを与える可能性があります。必ずゴム手袋を着用し、必要に応じてマスクも使用してください。作業中は必ず換気扇を回したり、窓を開けたりして、空気の流れを確保することも重要です。
- 洗剤の切り替え時は十分なすすぎを
清掃の途中で異なる種類の洗剤を使い分ける際は、必ず十分な量の水ですすぎ洗いをしてください。特に塩素系漂白剤と酸性洗剤を連続で使用すると、有毒な塩素ガスが発生する危険があるため、絶対に避けてください。異なる洗剤を使う場合は安全管理を徹底するようにしましょう。
まとめ
今回は、プロが実践している「洗剤の正しい選び方と使い分け」の基本を解説しました。大切なご自宅を傷つけることなく、気になる汚れをスッキリ落とすためには、汚れと洗剤の相性を知ることが何よりも大切です。
- 汚れの性質を見極める
酸性の汚れにはアルカリ性洗剤を、アルカリ性の汚れには酸性洗剤を。pHの性質を理解することが、効率的な清掃の第一歩。 - 素材との相性を確認する
天然石、木材、金属、プラスチックなど、素材によって使える洗剤は異なる。素材を傷める組み合わせには注意が必要。 - 安全な使い方を守る
まずは中性洗剤から始め、段階的に強い洗剤へ。洗剤を切り替える際は必ず十分にすすぎ、特に塩素系と酸性洗剤の連続使用は有毒ガス発生の危険があるため絶対に避けてください。
正しい知識と手順を守れば、大切なご自宅を傷つけることなく、汚れをスッキリと落とすことができます。参考にしながら、日々の清掃に取り入れてみてください。
洗剤選びや清掃方法に不安があるときは、ぜひ雄英美装にお任せください。
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