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雄英美装のブログ

退去時のハウスクリーニング:費用相場と依頼時の注意点を美装職人が解説

はじめに

賃貸物件の退去時には様々な清掃や修繕が必要となりますが、なかでもハウスクリーニングの費用と範囲は、管理会社やオーナーが最も悩みやすいポイントです。

物件の退去の際は、国土交通省のガイドラインに基づき、借主は物件を契約時の状態に戻す義務を負います。ただし、清掃費用をどこまでを借主負担とするかの線引きは物件の状態による場合が多く、その判断が簡単ではありません。

本記事では賃貸物件の退去時のハウスクリーニングに焦点を当て、費用負担の判断基準や、相場価格、業者選定時のチェックポイントなどを解説します。退去時の清掃費用に関するトラブルを減らしたい管理会社やオーナーの方は、ぜひ最後までご覧ください。

退去時の汚れ種類と費用負担の判断基準

退去時のハウスクリーニング費用を考える際、国土交通省が提示しているガイドラインが大きな指針となります。このガイドラインでは「経年劣化や通常使用による汚れ」はオーナー負担、「借主の故意過失・著しい汚損」は借主負担と定められています。

しかしこうした判断は基準が明確にあるわけではないため、線引きが難しく、どこまでが借主の負担で、どこからがオーナーの負担なのかの判断が難しいケースが多くあります。

美装職人は次の5つのポイントを特に注意深くチェックし、費用負担の判断材料としています。

  1. 床の傷み具合
    床材のワックスの硬さや剥離状態を確認します。剥離が激しい場合、短期間で深刻なダメージが入った可能性があります。通常使用による軽微な摩耗は経年劣化扱いですが、引きずり傷が集中している場合は借主負担となります。
  1. 水回りの汚れ具合
    浴室やキッチンの水垢、石けんカスの蓄積状態を確認します。日常清掃を怠った形跡がある頑固な汚れは、通常の劣化を超える負担として算定されます。
  1. タバコのヤニなどによる壁紙の変色
    壁紙や天井クロスの変色度合い、タバコのヤニの酸化状態を調べます。喫煙可能物件でも、換気せず室内が著しく黄ばんでいる場合は、借主へ負担を求めることがあります。
  1. エアコン内部のカビと汚れ
    定期的なフィルター清掃で防げるカビが熱交換器まで広がっている場合は深刻です。状態によっては修繕コストが増大することもあるため、クリーニング前に入念に点検します。
  1. 設備や建具の損耗状況
    ドアノブ、網戸、照明器具などの設備や、クローゼットなどの建具の状態を確認します。通常の使用による経年劣化はオーナー負担となりますが、乱暴な扱いや誤った使用方法による破損については借主負担になる場合があります。

これらの判断結果は管理会社やオーナーに報告し、国土交通省ガイドラインに沿って費用分担を決定します。過剰な負担を借主に求めないよう配慮することで、後日のトラブルも防止できます。

退去時ハウスクリーニングの費用

退去時のハウスクリーニング費用は、部屋の広さや作業範囲によって異なります。また、汚れの度合いによっては追加費用が発生することもあります。例えば、ペット臭が室内に深く染み付いている場合は、脱臭機材や除菌剤を使用する必要があり、作業日数も増加します。石材やタイルの磨き直しが必要な場合も、特殊な機材や専門知識が必要になるため、見積額が高くなる傾向にあります。

追加料金は負担に感じてしまいがちですが、臭いやカビを放置したままでは内見時の印象が悪化し成約率にも影響しかねないため、費用を削減してクオリティを落とすことは避けるべきでしょう。

一方で、内容が伴わない高額な見積もりにも注意が必要です。見積書の内容と施工実績を確認し、客観的に比較することが重要です。

ハウスクリーニング業者選定時のチェックポイント

同じ間取りや汚れレベルでも、業者の技術力やサービス範囲の違いで費用や仕上がりのクオリティに大きな差が出ます。清掃業者を選定する際は、次の4点を確認しましょう。

  1. 清掃範囲が明示されているか
    キッチン・浴室・窓ガラス・エアコン内部など、清掃対象を明確に示していることが重要です。図面と照合し、各部位の作業内容が具体的に示されていると安心できます。
  1. 追加費用の詳細が明示されているか
    ペット臭の除去や、重度のカビ汚れの除去など、通常より手間のかかる作業には追加費用が必要です。曖昧な説明で契約すると、後で想定外の請求を受ける可能性があります。御見積時に具体的な金額を提示してくれる業者は信頼性が高いといえます。
  1. 保険加入と品質保証はあるか
    清掃作業中に設備や内装を誤って損傷する可能性がないとは言えません。そういった時に備えて、保険加入状況を確認し、万一の際の補償内容を把握しておきましょう。また、仕上がりに満足できない場合の再清掃保証の有無もチェックしておきましょう。
  1. 一般的な相場と比べて極端な差がないか
    同じ作業内容で比較した場合、極端に安い見積もりには注意が必要です。質の低い作業で済ませる可能性があり、結果的に後日追加発注が必要になることもあります。逆に極端に高い場合は、不透明な費用が含まれていないか入念に確認することが大切です。

退去時の清掃のスムーズな進め方

退去時のハウスクリーニングをスムーズに進めるには、依頼から作業完了までの適切な対応が重要です。ここでは、管理会社・オーナーが清掃業者に業務を依頼する際の意識すべき点を紹介します。

  1. 素材別で清掃方法を確認しておく
    床や壁など素材に適した洗剤を使用しないと変色や劣化のリスクがあります。清掃前に「どんな方法で清掃を行うか」「どんな薬剤を使用するか」確認しておくことで、予期せぬトラブルの回避や、万が一の際の責任の所在を明確にしておけます。
  1. 追加料金の上限を明確にする
    「ヤニ清掃は1㎡あたり○円」「深刻なカビは○円上乗せ、ただし総額は○円まで」など、金額上限を明確にします。こうした明確な取り決めにより、作業後の請求に関する意見相違を回避できます。
  1. 作業内容を具体的に書面化する
    「キッチン清掃」ではなく「換気扇内部の油汚れ除去」「排水口の洗浄」など、具体的な作業内容を明記しておきましょう。特に見えにくい場所の作業は必ず書面に残しておくことで、後から「やったつもり」「頼んでいなかった」というトラブルを回避することができます。
  1. 作業後の保証期間を設定する
    清掃完了から一定期間以内の無償点検や再清掃の保証の有無を確認しておくと安心です。清掃が完了した後、乾燥後に現れる汚れの戻りや臭いの発生に対応してもらえるため、新しい入居者を迎える前に問題を解決できます。

これらを徹底すれば退去時の清掃手順がスムーズになり、管理会社と借主の負担も軽減されます。退去時は慌ただしいものですが、事前準備と書面化を徹底することで、大きなトラブルの回避につなげることができるでしょう。

まとめ:退去時の適切なハウスクリーニングのポイント

本記事では退去時のハウスクリーニングの費用相場や依頼時の注意点について解説しました。

退去時のハウスクリーニングは、単なる清掃だけでなく、どこまでの汚れを借主負担とするかの判断も重要です。国土交通省ガイドラインでは規定が設けられていますが、実際の判断には専門家の知見が必要です。そのため、ハウスクリーニング業者を選定する際は、ハウスクリーニングはもちろん、物件の原状回復に関する幅広いノウハウを持った清掃業者が望ましいでしょう。

信頼できる業者を選ぶことで、トラブルを避け、スムーズな退去・引き渡しが可能になります。費用や作業内容をしっかり確認し、納得のいく形でハウスクリーニングを依頼しましょう。

退去時のハウスクリーニングのご依頼でお悩みの方は、私たちにご相談ください。15年にわたる経験で培った技術を活かし、ハウスクリーニングはもちろん、賃貸物件の原状回復にまつわる幅広いご要望にお応えします。まずはお気軽にお問い合わせください。