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雄英美装のブログ
はじめに
住まいの印象を大きく左右する窓ガラスと、暮らしに開放感をもたらすバルコニー。これらは、住宅の解放感を左右する大事な要素ですが、常に雨風や砂埃に晒され、汚れが蓄積しやすいエリアです。窓ガラスが雨だれや砂埃で曇っていたり、バルコニーに鳥のフンや枯葉が散乱していたりすれば、住まい全体の印象が損なわれ、気分まで沈んでしまうものです。
それだけではなく、窓ガラスやバルコニーの汚れを放置すると、居住環境を脅かし、ひいては建物そのものの資産価値にまで深刻な影響を及ぼすことにもつながりかねません。
本記事では、ハウスクリーニング・建築美装の専門家である美装職人の視点から、窓ガラスとバルコニー清掃の重要性を解説します。あわせて、窓ガラス、バルコニーの清掃を行うためのポイントや注意点、そして清掃のプロである美装職人の専門的な技術とこだわりについて、具体的にお伝えします。
住まいと日々の暮らしをより美しく、快適に保つための参考にしていただければ幸いです。ぜひ最後までご覧ください。
なぜ窓ガラスとバルコニーの清掃は重要なのか?
窓やバルコニーの清掃は、室内の掃除と比べると優先順位が下がり、つい後回しにしてしまう箇所かもしれません。その上、住まいの外側に位置するため、日々の生活の中ではその変化が見過ごされがちです。その結果、気がついた時には汚れの度合いが深刻になっているというケースも少なくありません。
そうして放置された汚れは、単に美観を損なうだけでなく、以下のような問題に繋がっていきます。
1. 物件の資産価値の低下する
窓ガラスやバルコニーの酷い汚れは、放置しておくと建材そのものを傷つけ、住まいの資産価値を低下させる原因になりえます。
鳥のフンの強い酸は、塗装面を侵食し、金属手すりの錆やコンクリートの中性化を促進させます。また、バルコニーの排水溝が枯葉やゴミで詰まると、雨漏りの原因になることもあります。窓ガラスも、酸性雨や排気ガスに含まれる化学物質が固着すると「ガラス焼け」と呼ばれるうろこ状の汚れになり、美観を大きく損なってしまいます。
2. 想定外の出費や近隣とのトラブルにつながる
特に集合住宅では、バルコニーの汚れが想定外の出費につながる可能性があります。
通常、賃貸物件では退去時に原状回復義務が課せられます。長期間汚れを放置し、原状回復ができないまま退去すると、「通常の使用を超える損耗」と判断され、退去時に高額な専門クリーニング費用を請求されるケースがあります。
また、汚れが原因で近隣とのトラブルにつながるケースも考えられます。排水溝が枯葉やゴミで詰まり、水が流れなくなることで水漏れが発生したり、害虫や悪臭の発生源となった場合、近隣住人にも迷惑がかかり、ひどい場合は責任問題に発展することにもつながりかねません。
3. 住人の心身に影響を及ぼす
「バルコニーが汚い」「窓からの景色が悪い」といった状態は、日々の暮らしの中で無意識のうちにストレスとして蓄積されます。毎日目にする窓が汚れていると、部屋全体が暗い印象になるだけでなく、せっかくの眺望も台無しになってしまいます。
それだけではなく、汚れが著しい場合はアレルギーの原因となるカビやハウスダストの温床となり、住人の健康被害につながる恐れもあります。
もちろん、これらは汚れを放置した場合の深刻なケースですが、こうした事態を避けるためにも、日頃からこまめな清掃を心がけることが大切です。
窓ガラス・バルコニー清掃を行う際の注意点
窓ガラス、バルコニーを綺麗に保つためには、ご家庭での日々の清掃が大切です。ここでは、ご自身で清掃を行う際の安全やご近所トラブルを避けるための注意点を解説します。
窓ガラス清掃は「安全対策」を最優先に
特に2階以上の窓ガラスを外側から清掃する作業には、危険が伴います。何よりも安全管理を徹底することを最優先しましょう。
特に、窓から身を乗り出して外側を拭く行為は、重大な転落事故につながる極めて危険な行為です。絶対に避けてください。
脚立や踏み台を使用する際も、必ず安定した水平な場所に設置し、もう一人に支えてもらうなど、万全の安全対策を講じることが重要です。少しでも危険を感じる場合は、無理せず専門業者に依頼することを強くお勧めします。
バルコニー清掃は「近隣への配慮」と「衛生管理」が不可欠
バルコニーの清掃では、特に集合住宅の場合「近隣住民への配慮」が求められます。トラブルを避けるために、以下の点に注意しましょう。
近隣住民への配慮
バルコニーでは、水を使用する際に注意が必要です。大量の水を一度に流すと、階下に漏水する場合があるため、原則として禁止されているケースがほとんどです。水を流す際は少量ずつに分け、隣戸のバルコニーに流れ込まないよう注意しましょう。
また、バルコニーは室内とは違い、作業音がダイレクトに近隣の住戸に聞こえるため、大きな音を出しすぎると、苦情につながることも考えられます。作業は近隣住民に配慮しながら行うことが重要です。
衛生管理への配慮
鳥のフンには、人体に有害な病原菌が含まれています。アレルギーの原因になることもあるので、掃除の際は必ずマスクや手袋を着用してください。乾燥したフンをいきなり掃くと粉塵が飛散するため、水などで湿らせてから安全に除去しましょう。除去後は、殺菌効果のある洗剤などで洗浄・消毒するとより衛生的です。

美装職人が教える、ワンランク上の窓ガラス・バルコニー清掃術
ここでは、ハウスクリーニングのプロも日々実践している、窓ガラスとバルコニー清掃のコツをご紹介します。ご家庭でも行いやすい内容ですので、是非参考にしてみてください。
窓ガラス清掃のポイント
窓ガラスの清掃を行う際は、日差しが弱い曇りの日や窓が日陰になる時間帯がおすすめです。直射日光が強い時間帯は、洗剤や水分がすぐに乾いてしまい、拭きムラ(拭き筋)の主な原因となります。
- 乾拭きで砂やホコリを払う
まず、柔らかいブラシや乾いた布でガラス表面の砂やホコリを優しく払い落としましょう。拭き作業中にガラスを傷つけてしまうのを防ぎます。 - 洗剤は「中性洗剤」を使用する
薄めた中性洗剤を含ませ、窓全体をやさしく拭きます。強酸性や強アルカリ性の洗剤は、ガラス表面を化学変化させてしまう「酸焼け」を引き起こす可能性があり、一度起きると元に戻せません。どうしても落ちにくい汚れは無理に対応しようとせず、プロの清掃業者に依頼しましょう。 - スクイージーは「水を切る」意識で
窓ガラスの清掃には「スクイージー」というゴムの付いた水切りワイパーがおすすめです。ガラス表面の水を「切る」意識で上から下へ、常に一定の圧力を保ちながらまっすぐに引き下ろしてください。
一列ごとにゴム部分を乾いた布で拭うことで、汚れた水を引きずらず、拭き筋を防げます。最後に、窓枠の下端に沿って水平に一度滑らせ、残った水を完全に切るのがプロの技です。
- サッシ・レールを乾拭きする
窓ガラスのサッシやレールは、乾いたマイクロファイバークロスなどで縁を押さえるように拭きます。特に、サッシの溝は汚れが溜まりやすい部分なので、ガラス面とは別にきれいにしておきましょう。清掃を行う順番は「外側→内側→サッシ・レール」の順が効率的です。 - クロスでガラスを乾拭きする
最後に乾いたクロスで残った水分を拭き取れば完成です。仕上がりをチェックする際は、部屋の電気を消して懐中電灯などの光を斜めから当てると、正面からは見えなかった拭きムラや洗剤の残留膜が確認しやすいです。
バルコニー清掃のポイント
先述した通り、バルコニー清掃は水の使用や騒音など、近隣への配慮が重要です。基本は掃き掃除、乾拭きを中心に、水は汚れのひどい部分にだけ使用するなど、最小限に留めましょう。
- 床の掃き掃除・ゴミ拾い
大きなゴミを手で拾い、ほうきで全体の砂ぼこりや枯葉をしっかり掃き集めて取り除きます。 - 目立つ汚れには中性洗剤を使用
全体に水を撒くのではなく、汚れがこびりついている箇所にのみ中性洗剤をスプレーし、ブラシでこすります。 - 排水溝は「流さず回収」
排水溝は、水を流すと返ってゴミが詰まってしまったり、近隣に影響が出るおそれがあるため、フタを外して中の枯葉やヘドロを手袋をして直接取り除き、その後ブラシで内部をこすり洗いしましょう。 - すすぎは「じょうろ」、仕上げは「吸水」
洗剤を使った部分だけを、じょうろなどで少量の水をかけてすすぎます。その後は、乾いた雑巾や吸水性の高いモップで、水分を完全に拭き取って完了です。
一つひとつは簡単なものですが、これらを意識することで、近隣に迷惑をかけることなくバルコニーや窓ガラスを綺麗に保つことができます。ご自宅の清掃の際に参考にしてみてください。
まとめ
本記事では、見落とされがちな「窓ガラス」と「バルコニー」の清掃に焦点を当て、その重要性とご家庭で実践できる清掃のポイントについて解説しました。
毎日目にする窓ガラスやバルコニーの美観は、日々の生活の質と満足度に直結する重要な要素です。これらの場所を清潔に保つことは、快適な暮らしを守るだけでなく、大切な住まいの資産価値を維持するための「投資」でもあると言えるでしょう。できるところから少しずつ意識しながら、日々の清掃に取り入れてみてください。
しかし、本記事でご紹介したように、安全確保の問題や、固着した汚れなど、ご家庭での対応が難しいケースも少なくありません。もし「自分での清掃には限界がある」「一度、プロの技術で徹底的にきれいにしたい」とお考えの場合は、信頼できる美装の専門家へ相談することをお勧めします。専門的な知識と技術は、住まいの価値を長く維持するための助けとなってくれるでしょう。