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マンション共用部の定期清掃|作業範囲・頻度・見積もりの見方を美装職人が解説

廊下やエントランスホールなど、マンションの共用部は毎日多くの入居者や来訪者が行き交います。これらの場所は、日常的に清掃を行っていても年数が経つにつれて黒ずみやくすみが目立ってくることがあります。

これは、掃き掃除やモップ掛けなど普段の清掃で落としきれない汚れが少しずつ蓄積していくためです。こうした汚れをリセットし、共用部の美観を整えるために欠かせないのが「共用部の定期清掃」です。

本記事では、マンションの管理会社やオーナーの方に向けて、共用部の定期清掃の役割と、依頼できる作業内容を美装職人の視点から解説します。依頼時に確認したいポイントや見積もりの際の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

マンション共用部の「日常清掃」と「定期清掃」の違い

マンション共用部の清掃は、大きく「日常清掃」と「定期清掃」の2つに分けられます。

  • 日常清掃
    ゴミ拾いや掃き掃除、モップ掛け、手すりや扉の拭き掃除など、日々の汚れを取り除いてきれいな状態を保つための清掃。物件の規模により、毎日〜週1回程度行います。
  • 定期清掃
    日常清掃では落としきれない汚れを、専用の機械や洗剤を使って落とす清掃。床の洗浄やワックス仕上げ、高圧洗浄などを、月1回〜年に数回程度行います。

国土交通省のマンション標準管理委託契約書でも、日常清掃は床の拭き掃除や掃き掃除を中心とした清掃、定期清掃は定期に床の洗浄やワックス仕上げなどを行う清掃として区別されています(参考:マンション標準管理委託契約書コメント — 国土交通省)。

日常清掃と定期清掃は、「どちらか一方だけやっておけばよい」というものではありません。日常清掃で日々の清潔さをキープしつつ、少しずつ溜まってしまう汚れを定期清掃でリセットする。この2つをバランスよく組み合わせることで、建物の美観を長く維持しやすくなります。

日常清掃をしていても、共用部がくすんでしまう理由

日々の掃き掃除やモップ掛けだけでは落としきれない汚れとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、マンションの共用部に汚れが蓄積してしまう主な原因を見ていきましょう。

1. 床材の凹凸や目地に汚れが入り込む

マンションの共用廊下には、雨の日でも滑りにくいよう表面に細かな凹凸をつけた「防滑性ビニル床シート」が多く使われています。こうした凹凸やタイルの目地には砂や泥が入り込みやすく、一度入り込むとモップで表面を拭くだけでは簡単には落とせません。取りきれずに残った微細な汚れが日々重なることで、床全体が黒ずんで見えるようになってしまいます。

2. 雨水と土砂が混ざって黒ずみになる

屋外に面した廊下や階段、エントランス周辺では、雨の日に靴底から持ち込まれた土砂が雨水と混ざり合い、乾燥して床材にこびりついてしまいます。特に水が流れにくい床の隅や排水口まわりは汚れが溜まって固まりやすく、「気づいたときには落ちにくい汚れになっていた」ということも少なくありません。

3. ワックスの層に汚れが入り込んで固まる

エントランスなど共用部の床には、表面を保護する目的でワックスが塗られていることがあります。しかしワックスの表面は、人が歩くたびに少しずつ削れて細かな傷がつき、そこに靴の汚れなどが付着していきます。汚れが残った状態のまま上からワックスを塗り重ねてしまうと、汚れを閉じ込める形になり、床全体が黄ばんだり黒ずんだりして見える原因になります。

4. 靴跡や手垢が少しずつ蓄積する

エントランスの床に付く靴のゴム跡(ヒールマーク)や、オートロック操作盤・扉・手すりなどに付く皮脂を含んだ手垢は、水拭きで一時的に薄くなっても完全には落としきれず、徐々に定着していきます。一つひとつは小さな汚れですが、蓄積すると空間全体の印象を損なう要因になります。

定期清掃でプロが行う作業と、仕上がりの違い

定期清掃では、日常清掃では手が届かない汚れまで、専用の機械や洗剤を使って落としていきます。共用部の主な場所ごとに、プロの定期清掃でどこまで作業し、どのように変わるのかを紹介します。

エントランス・エレベーターホール

エントランスの床は、ポリッシャー(円形のブラシやパッドを回転させて床を洗う機械)で全体を洗浄し、靴のゴム跡や蓄積した土・砂の汚れを落としたうえで、床材に応じてワックスで仕上げます。自動ドアや風除室のガラス、サッシのレール、操作盤まわりの手垢なども、素材に応じた洗剤を使って拭き上げていきます。

床とガラスの両方が整うことで、エントランス全体の印象は大きく変わります。建物の第一印象を決める場所だからこそ、効果を実感しやすいといえるでしょう。

共用廊下・階段

廊下の床の清掃もポリッシャーを使用し、床材の凹凸に入り込んだ汚れを浮かせて洗浄します。ポリッシャーが届かない床の隅や壁際、階段の先端部分などは、ブラシやパッドを使って手作業で仕上げます。細かな部分まで丁寧に仕上げることで、廊下や階段全体がすっきりとした印象に整います。

ワックスを塗っている床で、洗浄しても黄ばみや黒ずみが残る場合は、古いワックスを剥がして塗り直す「剥離洗浄」を行うこともあります。剥離洗浄は費用や床材への負担もかかるため、床の状態を見て必要なときに行います。

ゴミ置き場・排水まわり

ゴミ置き場の床には油分や生ゴミのカスがこびりつきやすく、悪臭や害虫の原因になりがちです。定期清掃では、床の洗浄や高圧洗浄でこびりついた汚れを落とすだけでなく、排水口の中に溜まった汚泥(ヘドロ)まで取り除きます。

においの元から取り除くことで清潔な状態を保ちやすくなり、入居者からの苦情を減らすことにもつながります。

ゴミ置き場や排水まわりのにおいについては、夏のマンション共用部の「におい」の原因は?で解説しています。

駐輪場・外構

駐輪場や建物まわりのコンクリートの地面に固着した土砂や苔、自転車のタイヤ痕は、デッキブラシや高圧洗浄機で洗い流します。作業の際は、自転車や車両の移動、植栽や隣家への養生も含めて段取りを組み、周囲に汚水が飛び散らないよう配慮しながら進めます。

黒ずんでいた地面に本来の色が戻ると、建物の外まわり全体が明るく、手入れの行き届いた印象になります。

床やガラスはもちろん、機械が届かない際や排水口の中まで手を入れるのが、プロの定期清掃です。どこまでの作業が含まれるかは業者や契約内容によって異なるため、依頼前に作業内容を確認しておきましょう。すでに定期清掃を依頼している場合も、現在の作業範囲を一度見直してみると安心です。

日常清掃では落としきれない汚れが気になってきたら、一度専門の業者に相談してみるのがおすすめです。

建物の外壁に付着した汚れや苔については、外壁洗浄はなぜ必要?で詳しく解説しています。

定期清掃はどのくらいの頻度で行えばいい?

定期清掃の頻度は、月1回、年4回、年2回など物件によって異なります。「何回が正解」という決まりはないため、現在の汚れの溜まり方や日常清掃の頻度などをもとに判断しましょう。

以下に当てはまる場合は、清掃間隔を短く設定するか、汚れやすいエリアを絞って重点的に清掃するのが望ましいです。

  • 屋外に面した開放廊下や階段が多く、雨天時に土砂が持ち込まれやすい
  • 戸数が多く、エントランスやエレベーター前の歩行量が多い
  • 幹線道路や工事現場に隣接しており、砂ぼこりが侵入しやすい
  • 日常清掃の回数が少なく、日々の汚れが蓄積しやすい

共用部全体を同じ頻度で清掃する必要はありません。「通行量の多いエントランスは年4回、奥の開放廊下は年2回」のように場所ごとに頻度を分ければ、コストを抑えながら美観を保ちやすくなります。

また、次の定期清掃までに汚れが目立ってくる場合は、頻度や作業内容が建物に合っていない可能性があります。一度見直しを検討してみましょう。

オフィスや店舗の例ではありますが、日常清掃と定期清掃を組み合わせて計画的に清掃する考え方は、オフィス・店舗の「定期清掃契約」という選択肢でも紹介しています。

定期清掃の費用と見積もりの見方

定期清掃の費用は、清掃する面積や範囲、床材や汚れの程度に加えて、水道・電源の位置やエレベーターの有無といった搬入条件、作業できる曜日・時間帯などによって変わります。そのため、現地を確認したうえで見積もりを出すのが一般的です。

見積書では、作業内容ごとに項目が分かれていることが多いですが、分かれていない場合は内訳を確認しておくと安心です。複数の見積もりを比較する際や、現在の契約内容を見直す際は、次のポイントを確認しておきましょう。

主な項目内容確認したいポイント
床洗浄廊下やエントランスなどのポリッシャー洗浄対象範囲と面積
ワックス施工洗浄後のワックス塗布塗布する範囲と回数
剥離洗浄古いワックスの除去と塗り直し毎回行うのか、数回に1回か、対象となる範囲
ガラス・サッシ清掃エントランスや共用部の窓ガラス、サッシのレール内側と外側の両面か、高所を含むか
高圧洗浄外構、駐輪場、ゴミ置き場などの洗浄対象範囲、汚水の処理方法
養生・諸経費養生材、機材の運搬、車両の駐車費などどの費用が含まれているか

見積もりは合計金額だけで判断せず、「どの作業がどこまで含まれているか」を揃えて比較しましょう。

また、築年数が経った建物では、摩耗や変色など清掃では改善しにくい劣化が含まれていることもあります。どこまでが清掃できれいになるのかを、見積もりの段階で確認しておくと、作業後の認識のずれを防げます。

清掃で改善できる状態と、補修・交換が必要な状態の見分け方は、築古物件の原状回復|清掃で落ちる汚れとリフォームが要る劣化の見分け方で、清掃業者選びの基本的な考え方は、信頼できる清掃業者はどう選ぶ?で紹介しています。

定期清掃の依頼前に整理しておくべきこと

現地調査や見積もりをスムーズに進めるために、事前に以下の情報を整理しておくと、建物の実態に即した的確な作業計画や提案を受けやすくなります。

  • 現在の日常清掃の内容(頻度・範囲・担当)
    日常清掃できれいにできている部分と、定期清掃で補うべき部分を判断しやすくなります。
  • 気になっている汚れと場所
    写真があれば共有しておくと、優先して清掃する場所や汚れの種類を把握しやすくなります。
  • 前回の定期清掃の時期と作業内容
    汚れの蓄積具合から、定期清掃の頻度が適切かどうか判断する手がかりになります。
  • 床材やワックスの情報
    過去の施工記録があれば、使える洗剤やワックスの要否、剥離洗浄の必要性を判断しやすくなります。
  • 作業できる曜日・時間帯、入居者への案内方法
    作業の工程や、通行への配慮の方法など、当日の段取りを決めやすくなります。
  • 水道・電源の位置、機材を置ける場所
    機材の搬入や、作業時間の目安を立てやすくなります。

床材の仕様や施工履歴が不明な場合は、その旨を業者に伝え、現地で確認してもらいましょう。また、作業日が決まったら、作業範囲や通行を控えてほしい時間帯(洗浄直後やワックスの乾燥中は床が滑りやすいため)を、掲示板などで入居者へ事前に周知しておきましょう。告知を管理会社と清掃業者のどちらが担当するかも、あらかじめ決めておくと安心です。

まとめ

本記事では、マンション共用部の定期清掃について、日常清掃との違いや依頼できる作業内容、見積もりの見方を解説しました。

  • 日常清掃は日々の状態を保つ清掃、定期清掃は蓄積した汚れを落として状態を整え直す清掃
  • 日常清掃をしていても、床材の凹凸や目地、古いワックスの層などに汚れは少しずつ溜まっていく
  • プロの定期清掃では、床だけでなくガラスや金物、機械が届かない「際」まで仕上げる
  • 洗浄しても黄ばみや黒ずみが残る床は、剥離洗浄で古いワックスを剥がして塗り直すことも検討する
  • 頻度は回数から決めるのではなく、現在の汚れ方と日常清掃の内容から考える
  • 見積もりは合計金額だけでなく、作業内容と範囲の内訳を揃えて比較する

定期清掃で大切なのは、回数の多さよりも、その建物の床材や状態に合った清掃内容を設定することです。日常清掃と定期清掃を上手に組み合わせ、きれいな状態をできるだけ長く保てる共用部を目指していきましょう。

参考資料

マンション共用部の定期清掃は雄英美装にご相談ください

「日常清掃では落ちなくなった黒ずみがある」「何年も機械洗浄をしていない」「どの清掃方法が建物に合っているのか分からない」といったお悩みはありませんか。

雄英美装は、神戸を拠点に建築美装やハウスクリーニングを手がける美装職人の会社です。現地で床材や汚れの状態を確認し、建物に合った定期清掃の内容をご提案します。「まず共用部の状態を見てほしい」という段階でも、お気軽にお問い合わせください。

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